最近、民事再生後の退職金について検索から入ってこられる方が多いようです。
働いている会社が民事再生(事実上の倒産)した…と言っても、民事再生の場合、倒産よりも社員の処遇がハッキリしないため、分かり難い事が多いんてすよね。
- 会社が民事再生をしたけど先行きが見えないし会社を辞めるしかない
- 会社が民事再生を申請して、自分は解雇されるかも知れない
……こんな状況になってしまった場合、社員やその家族が真っ先に気になるのは退職金ではないでしょうか?
今回は働いていた会社が民事再生を申請した場合の退職金について、夫の体験から赤裸々な話を書いていこうと思います。
民事再生後に退職金は支払われるのか?
会社が民事再生法を申請した場合、従業員がもらうべき給与や退職金は「労働債権」と呼ばれます。
労働債権とは?
- 労働債権とは、未払い賃金や退職金や賞与のことです。
- 労働債権は会社が倒産・解散する時に残っているものの中から労働者がが得るべき権利です。
- 労働債権は会社が他の取引先に払わなくてはならないお金などより先に、労働者が受け取ることが出来ます。
従業員は法律によって守られていますから、そこのところは安心してください。
……と書きたいところですが、これはあくまでも建前上の話です。
退職金の本音と建前
倒産のどさくさに紛れて他の債権者が力ずくで会社の財産を持ち出してしまうと、労働債権を回収する事は難しくなります。
ですから、債権者が会社の財産を持ち出してしまう前に賃金台帳や退職金規程などは従業員の立場にある人達で抑えておく必要があるります。
しかし、現実問題として一般の社員や従業員が賃金台帳や退職金規程を確保するのは難しいんですよね。
労働組合が機能していれば労働組合に入ってもらうのがベストですが、夫の会社の場合は会社が民事再生を申請した直後に解散させられてしまいました。
労働組合の解散
夫の会社が民事再生を申請したと発表があった数日後、民事再生についての説明会が開催されました。 そして社員説明会の後、全社員が集められ労働組合の会合が開かれました。 労働組合(ろうどうくみあい、英語:t ... 続きを見る民事再生後、労働組合のが解散が決定。
夫の働いていた会社の労働組合が「解散した」のか「解散させられた」のかは正直、不明です。
労働組合があろうとなかろうと労働債権は1番最初に支払われるものですから、債権者が良識ある企業なら退職金は退職金規程に則ってキチンと支払われます。
夫の会社でも退職金規程通りにキチンと支払われました。
しかし、ここで驚きの事実が分かったのです。
ほとんど無いも同然の退職金……
夫の会社では、ある時期から民事再生を想定して動いていたらしく、いつの間にか退職金規定が大幅に変更されていました。
入社してから定年退職(定年近く)まで働いた社員については、ほぼ今まで通りの金額が支払われる事になっていましたが、中途退職者については、ありえないレベルでの退職金の引き下げが行われていました。
夫の会社の場合、退職金は社員のほとんどは一般的な企業でのボーナス以下の金額しか支払われませんでした。
ココに注意
会社が民事再生法を申請したら、最新の退職金規程を確認してみてください。
もしかすると、退職金規定が入社した時の規定とは違っている可能性も考えられます。
そして残念ながら、退職金規定が改正されている場合、いくら退職金に不満があってもどこに訴える事も出来ません。
働いていた会社が民事再生を申請した場合「社員の給与と退職金は保障されています」と説明を受けるかと思います。
しかし社員への退職金の保障は建前でしかありません。
働いている会社が民事再生をした場合、退職金は「貰えない覚悟」あるいは「寸志でも出ればラッキー」くらいに思っておいてください。
会社が民事再生を意識した時点で退職金規定の変更を行ってしまうと、法律的にも訴える手段が無いため、社員は実質泣き寝入りするしかありません。
夫の働いていた会社の社員達も、はした金を渡されただけでたくさんの社員達が解雇されました。